☆「いいもの」より「価値あるもの」


◆日本の「国債格付け」が格下げになったときに、「疎いから・・・」と答えた首相がいる国も珍しいのですが、この「格付け」というものも曖昧なものです。その「格付け」をしているのも企業ですから、当然自分の格付けもしているのでしょうから、その自分の格付けも是非お尋ねしてみたいものですが、以前、世界中を金融危機に陥れる原因を作ったリーマン・ブラザーズは破綻の一週間前でも、その「格」は日本の新日鐵や日立と同等だったと言いますからどこまで信用して良いのやら判断に苦しみます。人間はとかく「ランキング」に弱い(というか「好き」!?)ですから、レストランにしてもミシェランで星を取ると、それはそれは予約が込むようです。そんな状態ですから、ただでさえ国の借金が増えていて、経済も低迷し、就職も賃金も減る一方の日本で、ますます自信を失うような格付けは困ったものです。

◆世界状況が乱れる中、特に日本の低迷について言えることは、今まで何度も書いてきたように「社会システム」の問題があります。すべての仕組みが「人口が増え続ける」ことを前提にして考えられていますので、システムを変更しない限り、変革が難しいのです。そしてもう一つが「古いインフラ」であることも指摘してきました。新興国が何もないところに最新の設備を入れられるのに対して、日本は今までのインフラを一度解体してから導入せざるを得ませんから、2倍の労力がかかります。立ち直りが遅れるのも当然なのです。

◆現代はアナログ的な社会からデジタル的社会に変わってきているので、その発展のスピードが違うのは、いたし方ありません。アナログ的な社会はじっくりと、ゆっくりと発達しますが、デジタル的社会はその発展スピードが驚異的です。それではどちらが良いのでしょうか。それは・・・両方です。デジタルは難しい技術を手早く簡単に手に入れることができます。これは大変なメリットです。煩雑な操作がデジタル・システムのお陰で自動化され、人間は別の部分に時間を費やすことができます。それではアナログのメリットは何でしょうか。それは何より「じっくりと取り組める」こと。技が磨かれ、匠が育ちます。まさに日本の強みはここにあります。今は技で負けているというよりも、「時間=スピード」に負けていると言った方が適切かもしれません。

◆さて、もう一つ、新たな問題を提起しましょう。それは未来創学アカデミーの本領である「心」の部分です。常に「社会は人間の集合体だから、一人ひとりの考え方で社会は変えられる!」と説いておりますが、この認識がまだ人々に欠けていることを痛切に感じます。今の日本は「自信喪失」に陥っています。まぁ、政治家の発言などを聞いていると自信喪失にもなってしまいますが、ここは一念発起して、自信を取り戻していただきたいと思います。

◆ではどうすればよいのか。まず今の自分を省みて下さい。ちゃんと生きて、食べられている筈です。収入が少ないかも知れません。でもお金はどんなに稼いでも足りなく感じるものです。自分の考え方次第です。冷静に自分を見つめると、そこには「決して不幸ではない自分」がいるはずです。国民総生産が中国に抜かれてしまいました。これから物質欲を満たそうという国民と、すでに物質欲が満たされてしまった国民とでは勢いが違うのは当然です。しかし、日本人の所得平均はまだ中国の約10倍もあります。まだまだ余裕があります。今は冷静に自分を見つめ、早く「ちゃんとやっている自分」に気づくことが大切です。自分を低く「格付け」する必要などありません。そして、「自分に気づいた人=自信を持った人」にやって欲しいことがあります。それは「人に役立つ、価値のあること」をやって欲しいということ。人は当然ながら目標によって行動が変わります。「目先の利益」にばかり目をやる人が多い社会・・・。これは反省が必要です。「自分の行動が人の役に立っている」と思えたとき、人間はオーラが輝きます。

◆今「もの作り日本」も揺らいでいます。最先端技術もいつかは必ず追いつかれるもの。そのような追いつ追われつも技術革新という部分では大切ですが、もし、その製品開発が「性能を追うためだけの技術」であったとしたら、そこから生まれた製品に「心」はありません。物にも「心」を移すことが大切です。今こそ、心ある製品作りにシフトしなければ、結局誰が作っても同じで、安いほうが良いという結果に終わってしまいます。今人間は、特に日本人は、単に「よいもの」より「価値あるもの」を創造してゆかなくてはならない時に来ました。歯痒いかもしれません。そんなことではますます立ち遅れる、と思う方もいらっしゃるかもしれません。そんなことはないのです。

◆「心のスイッチ」を変えることは誰もが瞬時に出来る、もっとも「スピーディー」な行為なのですから。